当院では、DMAT(災害派遣医療チーム)の隊員が所属しています。
【日本DMAT隊員:医師5名、看護師4名、業務調整員4名】
【福岡県DMAT隊員:医師1名、看護師1名、業務調整員2名】
DMATとは、災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームです。
当院のDMAT隊員を紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
当院の看護師である野田知宏さんが日本DMAT隊員養育研修を終え、隊員として登録されました。 その際に野田看護師へ取材を行いましたのでご紹介させていただきます。 日本DMAT隊員 野田 知宏 (看護師) 取材内容 |
![]() |
■DMAT隊員になろうと思ったきっかけを教えて下さい。
東日本大震災の際になにか自分にできることはないかと考え、看護師を志しました。業務などで日々忙しく過ごし目標を見失っているときに、上司より災害活動についてのお話を聞き、憧れを感じたことがDMAT隊員を目指したきっかけです。
■DMAT研修で学ばれた中でどのようなことが一番心に残りましたか。
被災地で一人では何もできない中、周りとのチームワークや正確な情報の交換が大切であると実感しました。ほかの隊員と研修を行うことによって、災害にかかわらず様々な知識や人とのつながりを増やすことができた、ということが看護師としてよい刺激になりとても印象的でした。
■DMAT隊員になられてからの、やりがいや達成感を感じた場面について教えて下さい。
DMAT隊員として災害の現場に赴いたことはまだありませんが、隊員の後方支援を行った際にやりがいや達成感を感じました。後方支援は隊員の宿泊手配や交通情報の伝達等を病院で行います。その際に現場の隊員から感謝のお言葉をいただき、現場に行かずとも一緒に活動していると感じることができました。
■「一人でも多くの命を助けよう」という信念で発足されたDMATですが、DMAT隊員として災害派遣活動を行う際に、どのようなことに気を付けたいと考えていますか。
被災者にとっては1年目でも何年目でも医療者という頼りにされる存在である為、安心できるような正しい知識と迅速な判断が必要であると学びました。不測の事態が起こった際に対応できるよう気を付けたいです。また、避難所で生活する中エコノミー症候群で亡くなられる方も多くいらっしゃいます。外傷処置だけでなく様々な対応ができるよう活動を行い、地域住民の方が安心して過ごせるよう寄り添う気持ちを大切にしていきたいです。
■様々な訓練が行われていますが、訓練の中で意識していることや、訓練を行うことでの学びや新たな気づき等がございましたら教えて下さい。
災害時は想定外の出来事が多いため、「想定外」を「想定内」にできるマニュアル作成を行っています。様々な課題が多く出てくる中、多職種で連携し解決していくことが大切であると思いました。
■日本DMAT隊員としてこれから頑張りたいと思うことについて教えて下さい。
当院が災害拠点病院であり地域の中核的な医療機関である為、災害は起こらない方が良いですがもし災害が起こった際に、地域の方が安心して生活していただけるように活動していきたいと思います。
■この記事を読んでいる人へ向けて伝えたいことはありますか。
医療者の方もそうでない方も災害のことやDMATの活動について少しでも知っていただき、少しでも安心して生活を送っていただけたらいいなと思います。
当院JMAT(日本医師会災害医療チーム)として、能登半島地震の被災地支援活動を行った、当院の福岡県DMAT隊員「河津 実沙樹さん」へ取材を行いました。 JMAT活動でのやりがいや、福岡県DMAT隊員となるきっかけについて取材しております。 能登半島地震JMAT活動の詳細につきましては、活動報告へ記載しておりますので、そちらをご覧ください。 こちらからもご覧いただけます。 |
![]() |
【能登半島地震のJMAT活動の業務調整員としての活動について】
■能登半島地震のJMAT活動の業務調整員として行った活動内容について教えてください。
業務調整員の為、毎日自分達が行った活動内容をパソコンで活動日報に記載し、支部や本部へ提出することをメインに行っていました。活動日報は、午前と午後で各一回提出し、支部が情報をまとめ、今後の計画を練る参考にされます。また、FA-SYSと呼ばれるGoogle My Mapを使用した避難施設と避難施設カルテを紐づけたものに各施設の活動日報があり、その中の情報を参考にJMAT隊員は活動しています。そのため、医療支援を行う際は、医師が記載している災害カルテの「バイタルや処方内容等」を見ながら、患者様が少し話したこと等もメモに取り、現場で得た情報は全て記載し提出していました。自分一人では、全てを把握することは難しい為、医師や看護師の協力を得ながら活動日報を作成していました。避難者の方の状況が、前回と変わりないか等の確認をし、場合によってはJMATや保健師が介入して医療支援を行ったり、避難施設の医療ニーズを調査したりと地域医療へ繋いでいく活動を行いました。
■能登半島地震のJMAT活動に携わろうと思ったきっかけを教えて下さい。
私は福岡県DMATの資格を持っています。福岡県医師会よりJMAT派遣要請があり、DMAT部会内でメンバー調整を行っていた為、手上げしました。1ヶ月程前にDMATの実働訓練に参加しており、記憶が新しいうちに、活動し経験を活かしたいと思いました。また、現場にはまだ一度も行ったことがなく、実際の現場で活動してみたかったということもあり支援活動に携わろうと思いました。
■JMAT活動を行った際にやりがいを感じた場面について教えて下さい。
普段臨床検査技師ではできないことが経験できたことです。避難施設にいる方と接している中で、安心感を与えることができたり、「もう元気、大丈夫」など、少しでも不安を取り除けたこと、回復に向かっていく姿に関われたことがよかったと思います。また、自分たちが得た情報を支部・本部へ提出し、その情報を基に支部が次の指示を出す為、自分の提出した情報が次に繋がっていくことにもやりがいを感じました。
【福岡DMAT隊員について】
■福岡県DMATを目指したきっかけを教えて下さい。
上司からの声掛けがきっかけです。臨床検査技師として活動している中で、検査以外で色々な視点を持ち、何か自分の強みを活かせるものがあればいいなと思い、福岡県DMAT隊員養成研修会に参加しました。医師や看護師等の職種関係なく、他病院の方とその場で出た課題をディスカッションし、解決していくことを通して関わることができたのも興味を持ったきっかけです。また、業務調整員としてデータ処理を行うことにも、やりがいを感じ、目指そうと思いました。
■福岡県DMATとして今後災害派遣活動を行う際に、どのようなことに気を付けたいと考えていますか。
被災地の方に寄り添いながら活動することを心に置いていきたいと考えています。活動する場所は基本的に被災地である為、医療従事者が行くことで少しでも安心していただけるよう心がけていきます。また、「自分たちの身の回りのことは自己完結」すること。そして活動チーム全員でコミュニケーションを図りながら、ミッションを解決していくことも大切にしていきたいです。
■DMATの訓練や研修中で意識していることや学び等がございましたら教えて下さい。
処理能力がとても大切であると学びました。自分で情報を整理して、いかに次に繋げられるかが大切になります。訓練中は多くの情報が入ってきます。一つの情報から色々な選択肢を増やして試行錯誤し、よりよい方法を探すことを意識しています。数時間後には状況が全然違うということはよくある為、その時にどのように動くのが最適かを考えています。そのため、普段から優先順位を考えながら仕事をするようにしています。
■福岡県DMATとしてこれから頑張りたいと思うことについて教えて下さい。
まずは、日本DMATの資格をとることです。日本全国で動けるようにしたいです。災害は起こらない方がよいですが、年に何度か災害支援の要請がかかる可能性がある為、勉強会や研修会へ参加し災害医療について、興味を持っておくべきであると思っています。普段は災害関連の仕事はしていない為、何か起こった際に対応できるように最新の情報収集を行っていきたいです。また、要請を受ける際は、情報処理がメインである為、普段からパソコンに触れ情報処理に慣れておきたいと思います。
■この記事を読んでいる人(医療機関や地域住民の方)へ向けてメッセージをお願い致します。
日本は災害が多い国と言われており、災害がいつどこで起きるか分かりませんが、災害が起きたとしても医療支援を行うDMATの存在があることを知っていただける機会になればいいなと思います。災害拠点病院ではない病院やDMATを持っていない医療関係の方も、災害医療に興味があり、支援したいと思っている方がいらっしゃいましたらJMATとして医療支援ができることを知っていてほしいなと思います。