臨床検査とは、病院にお掛かりの患者さんの病気の診断や治療を行う為、また、経過を観察する為に、その時の傷病の状態を正しく評価するための検査です。
検査には患者さんの身体を直接検査の対象とする生理機能検査と、患者さんから採取した検体を対象とする検体検査に大別することができます。
生理機能検査では、心電図・肺機能検査・脳波検査・エコ-検査などを実施していますが、直接身体に触れる検査なので、患者さんに対して十分な説明のもと安心して検査を受けていただけるように心がけています。
検体検査では、患者さんから採取された様々な検体(血液・尿・便・体腔液・喀痰・組織など)を対象として、正確なデータを速く患者さんのもとへお届けするよう検査に臨み、質の高い検査を維持できるように努力しています。
さらに、救命センターと小児救急センターを併せ持つ八幡病院では、臨床検査課も24時間体制で臨み、いつでも検査を通して病院機能に貢献できるように検査課全員が日々努力しています。
診療のご案内(臨床検査技術課)[PDF]
※当課、診療のご案内は上記よりご覧いただけます。
私たちは病院の基本理念に沿って誠実に真心を込めて検査に取り組み、皆様に安心・信頼される臨床検査課をめざします。
臨床検査技師27名(臨時、再任用職員含む)
尿・便・髄液・体腔液(胸水・腹水など)・インフルエンザウィルスなどの検査を主に行っています。
尿は人体の恒常性を維持するための最も重要な排泄物です。そのため、尿にはそのときの体の状態が大きく反映され、尿を検査する事により多くの体内情報が得られます。
腎・尿路系や肝・胆道系の障害、糖尿病等が挙げられます。
尿検査の大きな利点として、患者さん自身に痛みを伴うことなく繰り返し検査できます。
検査の内容により異なりますが、およそ10~20分で結果が出ます。
髄液とは中枢神経の保護・恒常性の維持等の役割があります。髄膜炎等の疾患で変化する髄液中の白血球の数や蛋白・糖の量を調べます。
病的に溜まってしまった体液中にどんな細胞が含まれているか、その他蛋白や糖などの量を調べます。
毎年と言って良いほど流行するインフルエンザですが罹っているかを迅速に5分で結果がでます。
病理検査室では主に、組織検査・細胞検査・病理解剖 を行っています。
体の病変部分を生検で一部を採取もしくは手術などで摘出し、様々な薬液(ホルマリンなど)を使用してパラフィンという蝋状のものの中に埋め込み(包埋)、ミクロトームという機械で2~3ミクロンの厚さに切りスライドガラスに貼り付けます(薄切)。さらにそのスライドガラスを各種の処理の上、染色液に入れ、切片に色をつけ顕微鏡下で病理医が観察、最終診断がなされます。診断に必要であれば、特殊染色、免疫染色なども追加で行われます。
細胞検査とは、例えば喀痰や尿の中に悪性細胞が無いか、 真菌などの感染が無いかを顕微鏡下で観察(スクリーニング)します。
検体としては喀痰、尿の他に婦人科の子宮頚部、子宮内膜、気管支鏡下のブラッシング、 ブラッシング洗浄液などがあります。乳腺や甲状腺は注射針で細胞成分を穿刺吸引しスライドガラスに吹きつけ、染色を施し鏡検します。 組織検査と同様に、必要であれば特殊染色、免疫染色も施行されます。
不幸にして亡くなられた患者様のご遺体を、ご遺族の承諾のもとに解剖し、疾病の原因、生前診断や治療の効果などの検索を行います。その結果は、後日主治医をはじめ臨床の先生方が集まりカンファレンスを開き、今後の医学の発展へとつなげていきます。
血球(赤血球・白血球)・血色素・血小板などの血球数算定と血液を凝固させる成分を分析する凝固線溶系の検査があります。
血液は細胞成分と液状の部分(血漿)からなっていてその細胞成分の数と種類を計測します。それらから次のようなことがわかります。
外傷等で出血が起こると損傷部位に血栓がつくられ止血します。この機能は血管や血小板、血漿成分などが作用しあってできあがります。これらの血液が固まる時間を様々な角度から測定します。
生化学検査では、血液(血清)中の生命活動を維持するのにかかせない蛋白やブドウ糖や酵素、電解質などを測定し、肝機能や腎機能、糖代謝や脂質の代謝、栄養状態、体の状態を調べることができます。
心電図とは、心臓の微弱な電流を体の表面から拾い記録する検査です。 手足、胸に電極を付けます。身体に電流が流れたり、痛みを伴うようなことはありません。循環器診療はもちろん、救急あるいは術前検査などすべての領域において必要な検査です。1枚の心電図から、心臓の肥大、虚血、梗塞、炎症、不整脈などたくさんの情報がえられます。
呼吸機能検査は、息を大きく吸ったり吐いたりして、肺の機能を評価する検査です。
喘息や気管支炎、肺気腫、肺繊維症などの肺疾患はもちろん、術前の検査としても行われます。
超音波検査は、体の表面から超音波を当てることにより、痛みや苦痛なく、心臓、腹部、血管など、さまざまな臓器の状態を画像で観察することが出来ます。 生理検査室では、これらの臓器のうち、心臓と頚部血管の検査を行っています。
脳波検査とは、頭に電極をつけて、脳の電気的活動を波形に表して記録する検査です。覚醒時や睡眠時の脳波、さまざまな刺激(目の開閉・光刺激・過呼吸)に対する脳波の反応を調べます。当院の生理検査では、小児科のてんかんの検査、めまいや失神などでもこの検査を行います。電極(皿電極)を専用クリームで、頭に約20個(手にも装着)装着します。ベッドに横になってもらい、閉眼の状態で刺激負荷等を行います。準備から検査時間を含め、30~40分です。脳の微弱な電気を拾う検査ですので、体に電気が流れたり、痛みを伴ったりすることありません。
聴神経を興奮させることによって得られる脳幹の反応を記録する検査です。耳から入った音が聴神経から、脳まできちんと伝わるかを検査します。聴力検査としてはもちろん、脳死判定にも用いられます。検査は脳波検査と同じように頭に電極(4個)を装着し、耳にヘッドホンをあて検査します。ヘッドホンから、クリック音を出しその音に対する反応を検査します。脳波と同じく、体に電気が流れたり、痛みを伴ったりすることありません。
FMD検査は血管の一番内側の層である内膜の機能を診る検査で、自覚症状なく進行する動脈硬化の初期段階を調べる検査です。
超音波で腕の血管径を計測し、安静時の血管径と圧迫した後の血管径を比べてどのくらい血管が拡張するかを調べます。検査時間は30分程度です。検査中は頭や身体を動かさないようにお願いします。
重心動揺検査は、めまい、平衡感覚の診断を目的とした検査です。
直立姿勢に現れる身体動揺を重心の動揺と捉え、記録・分析して身体平衡の維持に働く系(視覚系、前庭・半規管系、脊髄固有反射系、およびこれらを制御する中枢神経系)の機能を検査するものです。
この検査で平衡障害の原因が耳からくるめまい、脳からくるめまいの鑑別がグラフによりわかるようになっているので病気の経過の観察・治療効果の判定ができます。
夜間睡眠中の身体の状態を装着した電極を通して測定する検査で、睡眠障害や睡眠呼吸障害などの確定診断検査と位置づけられています。
脳波・眼球運動・筋電図の動きなどを測定することで、睡眠の深さ(睡眠段階)や質・中途覚醒の有無を判定し、呼吸やいびき・酸素飽和度等により呼吸障害の有無・程度がわかります。
出血や貧血で赤血球製剤、凝固因子欠乏で新鮮凍結血漿、白血病や出血などで血小板が不足したときに血小板製剤を、献血により提供された血液から調整し輸注することを輸血といいます。 新鮮凍結血漿と血小板についてはABO式血液型とRH式血液型を合わせて輸血します。 赤血球製剤については赤血球上にはABO式、RH式以外にもたくさんの血液型(抗原)が存在するため輸血された赤血球が壊されて溶血性副作用を起こさない為の検査が必要です。 輸血や妊娠により自分とは違う血液が体内に入ることで防御機能が働き自分の持っていない抗原に対し抗体が産生されます。必ず産生されるわけではありませんが、一度産生されると、産生された抗体により、次の輸血や妊娠で対応する抗原を持つ赤血球が体内に入ってくると壊されてしまいます。この抗体があるかどうかを調べる検査を不規則抗体スクリーニング、輸血をされるヒトが持つ抗体に対する抗原を献血者が持っていないかどうか、実際に試験管の中で合わせて見る検査を交差適合試験(クロスマッチ)といいます。
患者さんから採取された様々な材料(尿、便、喀痰など)を培養して、細菌感染症の原因となる菌がいるかどうか、また、その菌に効く抗菌薬は何であるかを調べるための検査を行っています。薬剤耐性菌の情報を迅速に報告し、院内感染防止に貢献しています。
検体をスライドグラスに塗布し、グラム染色を実施し顕微鏡で観察します。グラム染色性と菌の形態を観察し、結果の報告をします。ブドウ球菌、肺炎球菌、真菌等は青色に、大腸菌、緑膿菌等は赤色に染まります。
1日目:検査材料を培地に塗布
2日目:培地を観察し原因菌を純培養
3日目:同定検査実施し原因菌名を報告、感受性検査実施
4日目:感受性検査を判定し、結果を報告
※発育の遅い菌に関しては更に時間が必要になります
集菌法を実施し、沈査をスライドガラスに塗布し、チールネールゼン染色を実施し顕微鏡で観察し結果を迅速に報告します。
液体培養と固形培養を実施し、液体培養は6週間、固形培養は8週間観察して結果を報告します。
自動遺伝子検査装置を使用し検査を実施、結果を迅速に報告します。
全自動遺伝子解析装置を使用し検査を実施、結果を迅速に報告します。
vanA遺伝子、vanB遺伝子、トキシンB遺伝子等の検査を実施します。
救命救急センターと小児救急センターの検査依頼 に応えられるよう、平日夜間と休日、2名の臨床検査技師で検査を行っています。コンピューターによる検査システムを利用し、正確な検査データを短時間で報告出来るよう技師が日々努めています。また、急な機器のトラブルに対処するために生化学検査、血液一般検査、血液ガス検査、免疫測定装置については、バックアップ機を設置してこれに備えています。
18名の技師が救急医療に対してもその一端を担うべく、日々全員で緊急検査に臨んでいます 。
血清総蛋白、Alb、総ビリルビン、AST、ALT、LDH、CK、Glu、Amy、BUN、CRE、UA、NA、K、Cl 、CA、T−CHO、CRP、アンモニア、ALP、γ-GTP、トロポニンI、BNP、浸透圧、プレセプシン、プロカルシトニン、エチルアルコール
白血球数、赤血球数、血小板数、Ht、Hb、白血球分類、出血時間、FDP、PT、APTT、Dダイマー、Fib、AT(ATⅢ)、SFMC
尿一般定性(10項目)、尿沈渣、尿HCG定性、尿Amy、尿NA、尿K、尿Cl、尿CRE、尿浸透圧
細胞数、単核球数、多核球数、糖、蛋白、Cl、細菌塗沫
血液型、クロスマッチ、不規則抗体スクリーニング
心電図
インフルエンザウィルス抗原、RSウィルス抗原、アデノウィルス抗原、GAS抗原、ヒトメタニューモウィルス抗原、マイコプラズマ抗原、水痘・帯状疱疹ウィルス抗原、ノロウィルス抗原、ロタウィルス抗原、尿中肺炎球菌抗原、尿中レジオネラ抗原
血ガス・血沈
細胞検査士 | 4名 |
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認定超音波検査士 | 5名 |
認定輸血検査技師 | 1名 |
福岡県佐賀県糖尿病療法指導士 | 1名 |
健康管理士 一般指導員 | 1名 |
健康食品管理士 | 1名 |
有機溶媒作業主任者 | 2名 |
認定臨床微生物検査技師 | 1名 |
感染制御認定臨床微生物検査技師 | 1名 |