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診療案内

小児臨床超音波センターセンター長インタビュー

センター長インタビュー

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小児臨床超音波センター長 小野 友輔 先生

(インタビュアー:当院若手広報チーム『八幡病院広報局』柳田・野口)

Q.なぜ小児臨床超音波検査についての取り組みを八幡病院にて行おうと思われたのでしょうか。

A.前院長であり、小児救急医療に生涯をささげた市川光太郎先生の影響で15年ほど前ですが後期研修医として当院に就職いたしました。仲間達と小児医療を学んでいく中で、診断や方針がつかず苦しんでいるこども達、悩んでいる保護者の皆様とたくさん向き合う機会がありました。ある夜、主治医としてみさせていただいていた患児に対して、わらにもすがる思いで教科書を片手に見よう見まねで超音波検査を行い診断できた経験からその有用性を実感いたしました。"小児臨床超音波"はそのような激動の日々のなか私が勝手に作り出した造語です。24時間365日小児の患者様が多い当院でこそ、"小児科医"自ら"臨床"の現場で行う"超音波検査"が必要ではないかと思いこの取り組みを行おうと思いました。

Q.今後、センターをどのように展開していきたいと思っていらっしゃいますか。

A.私自身の経験になるのですが、当時の院長に超音波を用いた小児医療を行いたいと相談したところ、「おまえは不器用だから小児科医を一回やめて超音波検査技師になってこい、ただし給料もださん、病院に住み込め。その覚悟はあるか?」といわれました。二つ返事で了承し、茨城県立こども病院で検査技師として修行を積みました。こども達に対して安易に被曝をさせる検査をするべきではなく、そのためには超音波のウデが必要と学びました。小児は感受性や蓄積性から被曝によるがんの発生を考慮する必要があります。「心配だから、とりあえずCT...とか」「一回くらいCTいいでしょ」といってCTを安易にとることは小児医療失格です。「あなたにとっての一回目でも、この子の一生にとっては何回目のCTになるかわからない」と、私は思うのです。もちろん超音波の限界もあります。そのときには迷わずCTやいろいろなモダリティを駆使する必要があります。そのような経験や知識を当院の小児医療に還元し、そして多くの先生方にもお伝えして展開していきたいと思っています。

Q.今年度センター開設のうえで、やりがいや達成感を感じた場面はありますか。

A.毎日あります。不安な顔で、ときには涙をしながら超音波検査室にこられるご家族もおられます。超音波検査を行い、診断や方針を説明した時の安堵の表情や一緒に治療に取り組もうという覚悟を共有できた瞬間はやりがいを感じます。同様に担当医(入院、外来)や紹介医(開業医の先生方)からの感謝の言葉をいただいたときなどもやりがいを感じる瞬間です。そして、その中心にいるこども達が元気になって帰宅するときもやりがいや達成感を感じます。もちろんこども達や保護者の一番そばにいるのは主治医ですので、超音波室のカルテを見ながらこっそりと喜びをかみしめるときもあります。

Q.センターがあることによって患者さんに対してどのようによいのでしょうか。

A.私は小児科専門医・指導医と超音波(総合領域)専門医・指導医のダブルライセンスをもっています。日本で数名しかいない変わり者!?です。超音波を駆使した医療を行いつつ、小児科医のスキルで保護者の皆様やこども達の悩み相談に応じたり、主治医の治療方針などを再度説明したりすることでより安心、納得できる環境にあると思っています。また、依頼医と同じ小児科医なので敷居を気にせずに気軽に相談、ときには私自身が他検査の追加や治療方針の修正なども行います。結果、よりよい医療が提供できているのではないかと思っています。

Q.)小野先生は超音波関連での受賞歴も多数あるとお伺いしました。また小児臨床超音波の研修を希望する先生もたくさんいらっしゃるとお伺いしました。大体どれほどの先生が学びにこられるのでしょうか?

A.私自身日々勉強です。真実まであと少しというところまで手が届いているのに...という悔しい思いをすることもあります。小児の超音波はまだまだ発展途上です。専門に行っている施設も限られています。珍しいという意味で、まだまだ勉強中の私でも超音波関連の賞をいただけたのかもしれません。また、上記のようにダブルライセンスの変わり者は希少ですので全国から講演や技術指導の依頼をたくさんいただくようになりました。その関係もあり当院で小児超音波を学びたいという若者たちから連絡がくるようになりました。現在まで8名ほど超音波関連で当院へ就職いただきました。また、当院研修医の先生たちにも超音波のスキルを還元するようにもしています。研鑽をつみ、研修を終了したあと、全国で小児臨床超音波を駆使して活躍しているという噂を聞きうれしい限りです。

Q.超音波検査を施行されるうえでダブルアイシステムを導入されているとお伺いいたしましたが、患者様方の待ち時間が短縮されたなど感じられる成果等はありますか。

 A.超音波のスキルだけではなく、小児科医、臨床医のスキルも駆使しています。外来担当医から、「超音波を駆使した医療も強力ですが、実際に二人で診察をしているようでとても心強いです」という言葉をいただきました。これがダブルアイシステムを意識した瞬間です。また、可能な範囲で症状や待ち時間を考慮し、外来主治医の診察の前に超音波検査から行うなど調整をすることもあります。しかし、実際に外来が立て込むときはお待たせしてしまうこともあり申し訳なく思っています。一方急ぎすぎると検査の精度を落としてしまいます。まだまだ、発展、成長していく必要があると思っています。

【広報チーム:小野センター長と会談して】

・検査といえばCTという認識の中、超音波検査を勧め続けた小野先生は、多くの人々から理解を得られず孤独な戦いをされた時期もあったそうです。その経験を乗り越えて小児臨床超音波センター長に就任された小野先生の努力と患者様に対する思いにとても感動しました。

小野先生とお話をして、まだまだ頑張らないといけないなと非常に強く実感させられた45分間でした。

今回は大変貴重なお話を伺うことができ、うれしかったです。ありがとうございました。

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