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診療案内

一般外科取り扱う主な疾患

取り扱う主な疾患

消化器外科、肝胆膵外科、呼吸器外科、小児外科などの様々な領域に対し、良性疾患などの一般外科に加え悪性疾患に対する集学的治療はもちろんのこと、外傷や胸腹部緊急疾患に対する救急外科についても対処しております。診断、治療を含む上下部消化器内視鏡・ERCPやEUS等、他の施設では診られない幅広い分野にわたる研鑽を行っていることが当科の大きな特徴であり、診療の基盤であります。

        

     

痔(ぢ)疾患の治療について

北九州市立八幡病院 外科では、痔に関するさまざまな疾患に対して専門的な治療を行っています。おしりの悩みは、なかなか人に相談しづらいものですが、放置すると症状が悪化してしまうことも少なくありません。出血、痛み、脱出、かゆみ、膿が出るなど、気になる症状がございましたら、どうぞお早めに外科外来にご相談ください。

痔とは? - 主な種類と原因スクリーンショット 2025-07-16 15.47.37.png

 

「痔」と一言でいっても、いくつかの種類があり、それぞれ症状や治療法が異なります。

  • 内痔核(いぼ痔): 肛門の内側にできるいぼ状の腫れです。初期には自覚症状が少ないこともありますが、進行すると出血したり、排便時に肛門の外に脱出したりします。
  • 痔瘻(あな痔): 肛門の周囲に膿のトンネルができる病気です。肛門周囲の皮膚が腫れたり、膿が出たり、発熱したりすることがあります。
  • 裂肛(切れ痔): 硬い便などによって肛門の皮膚が切れてしまう状態です。排便時に強い痛みを感じたり、出血したりします。

これらの痔は、便秘や下痢、長時間同じ姿勢で座り続けること、食物繊維の不足、過度の飲酒、妊娠・出産などが原因となることがあります。

1.内痔核(いぼ痔)の治療

内痔核は、症状や痔核の大きさ、脱出の程度(進行度)に応じて、以下のような治療法を選択します。

🔹痔核硬化療法(ALTA療法)

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ALTA(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸)という薬剤を痔核に直接注射し、痔核を硬化・縮小させて出血や脱出を改善する治療法です。

  1. 対象: 出血を伴う内痔核、比較的軽症〜中等症で脱出する内痔核に適しています。 手術を避けたい方、日帰りでの治療を希望される方(麻酔法によります)にも選ばれることがあります。
  2. 特長:
    • 手術に比べて痛みが格段に少ないのが最大のメリットです。
    • 肛門の機能への影響がほとんどありません。
    • 条件によっては繰り返し注射することも可能です。
  3. 入院期間の目安: 局所麻酔の場合、当日ご入院いただき、午後に治療を行い、翌日退院が可能です。

🔹 痔核切除術

最も基本的な痔核の手術で、いぼ痔そのものを外科的に切除します。

  1. 対象: 大きな内痔核、脱出が著しいもの、外痔核を伴う複雑な痔核など、幅広いタイプの痔核に適応されます。
  2. 特長:
    • 根治性が高く、再発のリスクが低い確実な治療法です。
  3. デメリット:
    • 他の治療法と比較して、術後の痛みはやや強めに出ることがあります。 痛み止めでコントロールします。
  4. 入院期間の目安: 通常、手術前日に入院していただき、術後34日程度で退院可能です。

🔹 PPH法(器械吻合式痔核手術)

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肛門の内側のたるんだ粘膜を、専用の器械を使ってリング状に切除・縫合することで、痔核への血流を減らし、脱出した痔核を元の位置に吊り上げる治療法です。

  1. 対象: 主に全周性に脱出する内痔核に適しています。
  2. 特長:
    • 肛門の敏感な皮膚部分には傷がつかないため、術後の痛みが従来の手術に比べて少ないのが大きな特徴です。
    • 比較的早い社会復帰が期待できます。
  3. 入院期間の目安: 通常、手術前日に入院していただき、術後34日程度で退院可能です。

 

🔹 痔核結紮術

痔核の根元を医療用の糸でしばり、血流を止めることで痔核を壊死させ、自然に脱落させる方法です。

  1. 対象: 比較的小さな内痔核や、出血が主な症状の痔核に適しています。 高齢の方や、他の持病で大きな手術が難しい方にも選択されることがあります。
  2. 特長:
    • 身体への負担が比較的軽い治療法です。
  3. 入院期間の目安: 主に外来で行いますが、状態によっては日帰り入院または12泊程度の短期入院で行うこともあります。

 

2.痔瘻(じろう)の手術治療

痔瘻は、肛門の周囲に膿のトンネルができてしまう病気で、自然に治ることはほとんどなく、手術による治療が必要です。 放置するとトンネルが枝分かれして複雑化したり、まれにがん化したりすることもあるため、診断がついたら適切な時期に手術を受けることが大切です。

🔹 瘻管(ろうかん)くり抜き法(Corning out

痔瘻のトンネル(瘻管)を、周囲の正常な組織から丁寧に剥がして、トンネルごと取り除く手術です。

  1. 対象: 主に後方(背中側)にある比較的単純な痔瘻で、括約筋の損傷を最小限に抑えられる場合に選択されます。
  2. 特長:
    • 再発が少なく、根治性の高い確実な方法です。
    • 肛門括約筋へのダメージを最小限に抑えることを目指します。
  3. 入院期間の目安: 通常、手術前日に入院していただき、術後34日程度で退院可能です。
  4. 治療後の注意点:
    • 術後の創部は、治癒するまでガーゼ交換などの処置が必要です。
    • 治癒までには数週間から数ヶ月かかることがあります。

🔹 瘻管開放術(Lay-open法)

痔瘻のトンネル(瘻管)をトンネルの走行に沿って切り開き、開放創として自然に肉が盛り上がって治るのを待つ方法です。

  1. 対象: 皮膚に近い浅い部分にある痔瘻や、括約筋の機能への影響が少ないと判断される場合に適しています。
  2. 特長:
    1. 比較的シンプルな術式で、治療効果も高いとされています。
  3. 入院期間の目安: 通常、手術前日に入院していただき、術後34日程度で退院可能です。
  4. 治療後の注意点:
    • 創部が完全に治癒するまでには時間がかかりますが、日々の処置は比較的容易です。

🔹 Seton(シートン)法

瘻管に医療用のゴムやナイロン糸などを通し、それを徐々に締めていくことで、ゆっくりと瘻管を切離・開放していく方法です。 または、ドレナージ(膿を出す通路の確保)目的にSetonを留置することもあります。 

  1. 対象: 瘻管が肛門括約筋を大きく貫いている複雑な痔瘻や、括約筋の損傷を極力避けたい場合に用いられます。
  2. 特長:
    • 肛門括約筋を温存し、肛門の機能をできるだけ損なわないように治療できるのが最大のメリットです。
  3. 入院期間の目安: Seton(シートン)を留置する初期の処置については、状態やSetonの種類によって、入院(通常、前日入院・術後34日程度で退院)して行う場合と、外来で行える場合があります。その後のSetonの締め直しや交換は、定期的に外来で行います。
  4. 治療後の注意点:
    • Setonが留置されている間は、異物感や軽い痛み、少量の浸出液が出ることがあります。
    • 数週間から数ヶ月かけて、徐々に瘻管が治癒していきます。この間、定期的な通院が必要です。

 

 💬 お気軽にご相談ください

「恥ずかしい...」「これくらいならまだ大丈夫...」と我慢していると、症状が悪化し、治療がより大変になることもあります。 少しでも気になる症状があれば、決して一人で悩まず、まずは当院の外科外来にご相談ください。専門医が親身になって、丁寧に対応させていただきます。

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