北九州市立医療センター産婦人科は、総合周産期母子医療センターとしての産科と、地域がん診療拠点病院としての婦人科を中心として診療を行っています。
北九州市立医療センターは、2001年12月7日に「総合周産期母子医療センター」の指定を福岡県から受けました。北九州市およびその近郊においてのハイリスク妊娠やハイリスク新生児の診断・加療について中心的な役割を担い、胎児要因や母体要因による母体搬送の受け入れ、緊急分娩や異常分娩への小児科医の立ち会い、そして異常新生児の受け入れを24時間体制で行っています。新生児の外科疾患の手術も小児外科で数多く行われています。また、北九州市立医療センターには脳神経外科、循環器科や心臓外科など、産科以外の救命に必要な科も揃っています。
2003年5月26日からドクターカーの運用を開始し、新生児搬送と母体搬送に利用しています。
2006年4月からは周辺の病院における産科診療の中止や縮小を受け、北九州市および北九州市医師会の協力のもと、妊娠の診断や正常妊娠・分娩の管理を診療所にお願いして、北九州市立医療センターではハイリスク妊娠やハイリスク分娩、母体救急の診療に専念する役割分担のシステムをとっています。
また、第三者からの精子提供を利用して妊娠した女性カップルや、未婚女性など、どのような妊娠成立過程であっても、妊婦さんが安心・安全に出産できるよう受け入れを行っています。
ただし、当院は紹介受診重点医療機関のため、他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)を持参していただくことを原則としています。紹介状なしでの初診の場合、通常の医療費に加え選定療養費として、7,700円(税込)のご負担が発生しますことをご了承ください。
詳細はこちらからご確認ください。
北九州市の産婦人科・小児科医師確保対策事業について[外部リンク]
産科部門には、合併症妊娠、多胎妊娠、妊娠高血圧症候群、切迫早産、胎盤異常、胎児異常などのハイリスク妊娠を対象に母体・胎児の集中管理を行う母体・胎児集中治療管理室(MFICU)が6床あり、一般産科病床25床と合わせて31床のベッド数を有しています。
新生児部門には、人工呼吸療法が必要な超低出生体重児や極低出生体重児などの重症新生児を管理する新生児集中治療管理室(NICU)が9床あり、一般新生児病床12床と合わせて21床のベッド数があります。
2022年の分娩数は395件(そのうち22件が双胎)で、帝王切開分娩は189件でした。救急車による母体搬送の数は74件ありました。妊娠37週未満の早産の分娩数は61件で、そのうち妊娠28週未満の早産数は3例でした。
北九州市立医療センター産婦人科では、手術治療、悪性疾患を中心に診療を行っています。2022年の婦人科手術は575例で、そのうち悪性疾患の手術は290例です。腹腔鏡手術は40例行っています。治療ガイドラインに則った最適最良の標準治療を行なっています。日本産科婦人科学会の婦人科腫瘍委員会ホームページ⇒データブックに北九州市立医療センターのデータも掲載しています。
唯一予防でき得る癌です。子宮頸癌はHPV (ヒトパピローマウイルス)感染が原因といわれています。 HPVは性交で約80%の女性が感染するといわれています。HPV感染によって起こる前癌病変の異形成もしくは上皮内癌を経て発症します。最近は若年者の発症が増えています。北九州市立医療センターは子宮がん検診精密検査実施登録医療機関です。集団検診もしくは施設検診での子宮頸部細胞診で要精査となった方の精密検査を行います。治療は前癌病変(異形成、上皮内癌)に対して年間50~70例のレーザー治療、円錐切除術を行っています。浸潤癌に対しては広汎子宮全摘術(15~20例/年)、放射線化学療法を行います。骨盤神経温存広汎子宮全摘術など、合併症の少ない手術に積極的に取り組んでいます。初期癌に対しては妊孕性温存手術も行います。
症状としては不正性器出血があります。40歳未満の若年者も6%います。北九州市立医療センターでは治療は根治手術(30~40例/年)を中心に、進行癌に対しては化学療法、放射線療法を併用して治療します。Ⅰ期癌に対して腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術も行っています。前癌病変である子宮内膜増殖症や若年初期癌、ホルモン感受性癌に対してはホルモン療法も行います。子宮体癌は肥満や糖尿病などの合併症をもった方が多いのですが、リスクの高い手術も積極的に行います。低リスクの子宮体癌に対して腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を行っています。
検診などで偶然に見つかることが多い疾患です。北九州市立医療センターでは術中迅速病理組織診で手術中に良悪性の診断を行い、癌の場合には根治手術(20~30例/年) を行います。卵巣癌は手術と化学療法で治療を行います。
化学療法、放射線療法が中心となりますが、手術療法も積極的に行います。またQOL(Quality of Life)を考慮して、腫瘍休眠(進行を遅らせる)を目的とした副作用の少ない化学療法も行っています。
過多月経、生理痛などの症状を伴う子宮筋腫、子宮内膜症に対して手術、薬物療法を行います。それぞれの症状、ライフスタイルに合わせて治療を選択していきます。卵巣嚢腫、子宮筋腫などには腹腔鏡手術や子宮鏡手術を積極的に行っています。子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)は保険適応になり、症状のある子宮筋腫に対してUAEを行っています。
高齢者に多く、症状としては排尿障害、尿失禁を伴うことが多い疾患です。Urogynecology (婦人泌尿器科)として泌尿器科と協力して診療を行います。子宮脱、膀胱脱(膀胱瘤) などの性器脱に対して個々の症状、QOLにみあった治療(手術療法、薬物療法、保存的治療)を選択します。性器脱にはいろいろな手術法があります。
北九州市立医療センターでは子宮外妊娠、卵巣嚢腫茎捻転、流産などの救急疾患や悪性腫瘍救急に24時間対応しています。
総合周産期母子医療センター(8階南病棟)では、入院生活をより快適に安心してお過ごしいただけるように新たに個室を2部屋増室しました。
トイレ・シャワー室を完備し、プライバシーが守られリラックスできる病室となっており、ママと赤ちゃんがゆったりお過ごしいただけます。
個室をご希望される場合は、病棟看護師へご相談ください。
●主な室内設備
テレビ・冷蔵庫・床頭台・洗面台・クローゼット・トイレ・シャワー室・ソファーなど
●料金 1日 13,200円